SSブログ

博士論文の刊行 [旧石器]

ここ数年、考古学の博士論文の出版が続いている。
旧石器関係だけでも10冊は下らないであろう。

いずれの方も、行政や大学での十分な実績もあり、長く研究してきた論文を一冊に取りまとめたものが多い。
博士論文であるから、B5版で300~400頁となる大部な著作である。

これらの刊行される出版社は、同成社、六一書房、新泉社などである。

私も博士論文を刊行するために何社か相談したり、出版された方に聞き取りをしたが、
昨今の出版界の厳しい状況もあり、大変な負担の上で出版・刊行が行われているということがわかる。

旧石器時代の専門書は研究者以外の一般読者のニーズは多くないことから、出版部数は300-600部と最低限に抑えられている。
一冊の価格は部数や頁にもよるが8,000~15,000円となり、出版にあたり、著者は出版社から相応の部数を著者割引の価格で買い取ることとなる。
その数は3割から5割にも及ぶ場合がある。
仮に10,000円の本を400冊出版する場合では、著者割引価格の8,000円×200冊で1,600,000円の自己負担となる。

ここ数年の博士論文の刊行された方は、40~50代の方が多い。
社会人として勤続期間も長いので、本人としては大変であるが、工面すれば自己負担もある程度可能なのであろう。

一方、国の博士増産体制のもとに、現在、30代の学位取得者が輩出されている。彼らは、大学院、博士課程と20代を大学で過ごし、その多くは学位取得後、常勤の大学教員の枠はなく、大学の非常勤講師や財団法人の嘱託職員などで食いつないでいる。優秀な人材が十分な活躍の場が極めて限られているというのが実態である。
したがって、彼らの優秀な博士論文は、高額の自己負担を伴う出版にまでいたらないことになる。
こうした状況は、何とかならないのか。

国の政策が問題にされなくてはならないのは当然だが、本の刊行をシュアする方法など新しい学術書の刊行のためのシステムの構築が望まれる。

直近の課題として、自らの学位論文の出版があるが、自費出版でやるのか、出版社から出すのか、思案中である。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。