石器文化研究会 第268回例会のおしらせ [旧石器]
石器文化研究会 第268回例会のおしらせです。
今回は大阪からかながわ考古学財団に出向している絹川さんによる発表です。
日時:2015年9月12日 14:00~
発表者:絹川一徳氏(公益財団法人かながわ考古学財団)
題目:「古大阪平野を中心とした後期旧石器時代の石器群と旧石器人の遊動領域について」
コメント:西井幸雄(公益財団法人 埼玉県埋蔵文化財調査事業団)
場所:明治大学博物館教室
要旨:今回の発表では、長原や瓜破・瓜破北遺跡など大阪平野や周辺地域において最近10年間で新たに発見された資料を紹介しながら、近畿・瀬戸内地方における旧石器研究の争点や課題について改めて整理を行いたい。また、これらの新資料を織り込みながら、近畿地方を中心とした後期旧石器時代の横剥ぎ石器群の変遷と瀬戸内技法の関係について論じる。この問題を検討するうえで前提となるのは「国府石器群」をどう捉えるかである。瀬戸内技法を技術基盤とするとされる「国府石器群」が、編年上の画期あるいは地域的な様相を示す独立的な石器群として成立するのかどうか、その存否にまで踏み込んで考えてみる。
瀬戸内技法の成立・展開は二上山産サヌカイトを占有的に利用した旧石器人集団の活動と密接に関係している。古大阪平野を中核的な活動領域とした彼らの遊動範囲について、遺跡利用のあり方と分布の相関を明らかにしながら検討を行いたい。最終氷期における環境変動は、狩猟対象や狩猟方法の変化を促すとともに旧石器人の活動領域の変動にも大きく関与した。この脈絡の中にサヌカイト原産地利用と瀬戸内技法成立の関係を解く鍵があると考える。
参考文献:
真田陽平2012「国府石器群における瀬戸内技法-翠鳥園遺跡の層位的出土例による編年的予察」『旧石器考古学』76、旧石器文化談話会、pp.21-38
久保弘幸2014「西日本後期旧石器文化の編年と瀬戸内技法」『旧石器考古学』79、旧石器文化談話会、pp.17-30
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