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焼失した雄山荘 [雑記]

昨年暮の火災は本当にびっくりしました。
10年以上前に、短い時期でしたが「小田原ゆかりの優れた建造物」の担当をしていたこともあり、
この建物の保存を模索していました。
その時は、太宰治の「斜陽」を読み、小説のこの記載は、建物のここの部分だとか、
色々と調べたことを思い出しました。
火災の記事は各社出ていますが、地元記者の方は、これまでの事情を良くご存知だったので色々と助かりました。

火事の後も、多くの方が訪れているようです。

解体・撤去工事も行われたようです。こちらは&Oさんのブログをご覧ください。

http://andokobo.blog73.fc2.com/blog-entry-884.html

 

 また、先日、毎日新聞の澤 支局長だよりとして、記事が掲載されましたので、


こちらに転載させていただきます。

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20100112ddlk14070133000c.html

この件は、書かないつもりでしたが、書いてしまいました。

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支局長だより:太宰ゆかりの雄山荘=澤晴夫・小田原支局長 /神奈川


 小田原市が91年に作成したビデオ「小田原古建築の意匠」に、昨年暮れの不審火で全焼した「雄山荘」が紹介されていた。わずか3分の映像は「『斜陽』の舞台になった雄山荘」のナレーションで始まり、「ここで太宰治と太田静子の愛ははかなく燃え、そして消えていきました」で終わっている。

 昭和の初期に実業家の別荘として建てられた雄山荘。富士山や相模湾を望む下曽我の高台にある。戦後間もない47年2月21日から5日間滞在した太宰は、静子の日記をもとに「斜陽」執筆の構想を練ったと言われている。

 出火直後のくすぶる煙と、きな臭いにおいが立ち込める火災現場で、無残に焼け落ちた姿を目の当たりにした時、「惜しいものを失ってしまった」とつくづく思った。最後の居住者が引っ越していったのは93年。もう15年以上も無人のままだったことになる。目と鼻の先に、あだ討ちで知られる曽我兄弟ゆかりの「城前寺」があり、雄山荘は何度も足を運んだ場所だった。

 桐の紋様が彫られた門扉に「門を壊さないで下さい」との張り紙があった。庭のササの葉が道路まではみ出し、荒れ果てた様子が痛ましかった。太宰の没後60年に当たる一昨年6月、太宰をしのぶ「桜桃忌」に合わせて「雄山荘が朽ちかけている」という記事を書いた。雄山荘の現状を伝えたいという思いもあった。

 太宰の足跡を残した建物として、地元や全国の太宰ファンから保存を求める要望書が小田原市に提出されたのは93年の11月。城前寺や雄山荘のある一帯は作家・尾崎一雄の旧宅跡や文学碑もあり、歴史や文学の散歩コースとして格好の地でもある。市は雄山荘の保存・公開を検討していたが、所有者との話し合いがつかないまま、最悪の結末を迎えたことになる。

 94年に出版された「『斜陽』の家 雄山荘物語」(林和代著、東京新聞出版局)に、作者の実体験に基づいた、こんな一節がある。「難題をつけて迫る地主、ただの傍観者の行政、小手先の修理ではもうどうにもならない家」

 「保存して公開する考えはないんですか」。所有者への取材に「これまでのいろいろな経緯から売ることはしない。雄山荘は朽ち果てるのが最善の方法だと思っている」という返事だった。

 年が明けて焼け跡に立った時、雄山荘があったこの場所と、ここから見える風景そのものが「斜陽」の舞台なのだという思いを新たにした。

 さまざまな行き違いがあったのかもしれない。小さな文学碑でもいい。太宰ゆかりの地を何とか残す手だてはないのだろうか。

 


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ジュンクワ

作家・太宰治の娘、太田治子さん(62)の文学講演会が23日に小田原市本町の市民会館でありました。その記事はこちらです。
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20100124ddlk14040148000c.html
by ジュンクワ (2010-01-25 02:00) 

&O

雄山荘の門が残っているとブログに書いたのですが、その後取り壊されてしまいました。・・・又、現在の様子を書きます。
by &O (2010-01-26 00:47) 

ジュンクワ

&Oさん

ただ今のところなかなか下曽我まで行く余裕がないので、
写真アップしてくれると助かります。

それにしても残念というか悲しいです。

建物と樹木がなくなったら、
あの場所からの富士は素晴らしいでしょうね。
by ジュンクワ (2010-01-27 00:48) 

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