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「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相」に参加しました [旧石器]

10月18日にお知らせした、科学研究費補助金「新学術領域研究」2010-2014
「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相: 学習能力の進化に基づく実証的研究
交替劇」の一日目のみ(10月23日)参加してきました。
赤澤威先生を領域代表とするこの壮大なプロジェクトは5年という長い期間、タイトルにもあるようにネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相は、サピエンスの学習差が原因で起こったとする作業仮説(学習仮説)を実証的に検証するというものです。
研究軸(1):旧人・新人の間に学習行動差・学習能力差が存在したことを実証的に明らかにすること
研究軸(2):旧人・新人の間に学習能力差・学習行動差が生ずるに至った経緯を理論的かつ実証的に明らかにすること
研究軸(3):旧人・新人の間の学習能力差・学習行動差の存在を両者の脳の神経基盤の形態差という解剖学的証拠で明らかにすること
研究全体構想は、上記 (1) (2) (3) 研究軸の研究成果の相互乗り入れをはかり、その有機的結合によって学習仮説を総合的に検証することにある。そして、新人サピエンスに特異的な高い知能や彼らの現代的行動がどのような外的条件のもと、どのような経緯で獲得されたかを学習能力の視点から見極める道筋を拓き、われわれ人類がどのような歩みを経て今日に至ったかを俯瞰する新たな実証的進化モデルの構築をめざす。(HPより引用)
全体構想は赤澤先生の話にありましたが、衝撃的でした。これまで、いくつかの考古学主導のプロジェクトではありえない、壮大な研究計画でした。
驚きの研究の全体像は、HPに詳しく記載されていますのでご覧ください。

SCN_0003.jpg特に、旧人・新人に関わる石器製作伝統のデータ・ベース化が行われるようで、南・東アジア、南北アメリカなどを除く、アフリカとユーラシア西半のネアンデルタール分布域の旧人・新人に関する全ての遺跡報告書のデータベース化を進めるというものです。これができれば世界中の研究者が泣いて喜ぶに違いありません。 
第2回の研究大会は、2011年2月19日(土)、20日(日)、神戸学院大学で開催されるようです。順次、研究成果は公表されるようなので、引き続き、このプロジェクトの展開に注目したいと思います。
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シンポジウム会場
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シンポジウム会場の様子
参加者は60名ちょっとと少なかったです。
プロジェクトメンバー以外の考古学の参加者は本当に少ない。
私以外には、静岡のM君、東大のN君など数名でした。
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全体構想について熱く語る赤澤高知工科大教授
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研究項目A01「考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の
実証的研究」研究代表の西秋良宏さん(東大)
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「高緯度寒冷地域への植民行動:その進化的・学習的意義」
について発表した加藤博文さん(北大)
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「旧人・新人に関わる石器製作伝統のデータ・ベース化:
その目的と方法」の発表を行った門脇誠二さん(名古屋大博物館)
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研究項目A01「狩猟採集民の調査に基づくヒトの学習行動の
特性の実証的研究」研究代表の寺嶋秀明先生(神戸学院大学)

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松本茂

科学研究費補助金「新学術領域研究」2010-2014、考古学領域での5年間の科研費の規模はどんなものなのですか。実に壮大な「新学術領域研究」ですが、文科省がどのように判断したのか興味津々です。
by 松本茂 (2010-10-30 23:04) 

ジュンクワ

通常ではこのクラスの予算規模は億以上だと思います。文科省基準はわかりません。

関係者に聞いたところ、この科研の申請書を取りまとめるのに2年間、ほぼ毎月研究会を行ったそうです。それだけ研究を積み上げ、研究戦略を練り上げた結果、採択されたと理解しています。

赤澤先生は、考古学ではなく人類学の先生で、ネアンデルタール研究では世界的な研究者として知られています。



by ジュンクワ (2010-10-31 16:32) 

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